風俗営業許可申請の最大の難関~図面作成~
風俗営業許可を取るためには、必要書類として営業所(店舗)の図面が必要です
ここが一番難しく、経験者の手助け無しでは未経験者はほぼ無理でしょう
風俗営業許可申請は、申請してから許可が出るまでの間に警察署の「検査」(「現場調査」「実施検査」など呼び方は様々です)を受けることになります
この検査は、申請した図面と実際の店舗の寸法・照明設備とその数に間違いがないか等を担当官が測量・確認に来ます
寸法に関しては1cm単位で測量されますので、もし間違っているとその時点でその日の検査は終了、修正した図面を提出して再検査の日を設定することになります
もちろんその間、書類の審査はストップしますので許可が下りる日も延びてしまいます
測量の仕方やそこから割り出す面積の計算方法も独特です
そんな図面には3種類が原則として必要となります
・配置図
・求積図
・照明音響防音図
これらの図面は手書きでも構いませんが、間違いや修正があった場合には非常に手間と時間がとられます
また、申請先の警察署は、書類の見やすさによって心象に影響するので、見やすく正確な図面が要求されます
こうなりますと、パソコンによるCADソフトを使用しての図面作成が効率的で有効です
しかし、CADソフトは誰でもすぐに使いこなせるものではなく、自在に扱えるようになるにはそれなりの時間がかかってしまいます
工務店等が作成した図面は申請に使えません
工務店が持っている図面をもらって風俗営業許可申請・・・
これはできません。
なぜか?
この図面は壁芯や柱芯を元に長さを記載しています。
※壁芯・・・壁の厚みの中心 柱芯・・・柱の中央(中心)
例えばこのお店の横の長さ(右から左)を求めるとき、柱芯から柱芯の「9.00」はそのまま申請に使うことはできるでしょう。
しかし、図中①の「0.45」が図面になかったとき、これは実際に計測するしかありません。ちなみに0.45は、柱の幅が0.90ですのでその半分とした数字です。
その計測も、柱の中心から壁までの長さを測ることになりますが、「柱の中心」ってどうすれば分かるのでしょう?
「柱の幅が0.90だからその半分の0.45が、柱の中心から壁までの長さだ」
理論上はそうかもしれませんが、申請後の検査は1cm単位で細かく測ります。この店舗の横の長さを測る時は右の壁から左の壁まで一気に測りますので、理論上と実態の違いは必ず出てきます。
次に図中右側の、柱から壁までの距離ですが、図中の3.76(②)をよく見ると、柱芯から壁芯までの長さです。
つまり、柱の厚みと壁の厚みが、この3.76に含まれてしまっています。
風俗営業許可申請の図面は内法(うちのり)といって、内部の距離が必要です。
ですので、この工務店作成の3.76をそのまま申請には使えません。
柱から壁までの距離「3.16」が申請時に使う数字となります。
このことから、申請に添付する図面は必ず実際に距離を測る必要があります。
配置図
店内でお客様用に使用するソファ・テーブル・イス等を配置した図面です
それらの高さ・奥行・幅のサイズは店舗の図面内には書けないので、「イスA」「テーブル1」などのように記号を付け、図面の横か別紙にその記号に対応するイスやテーブルの高さ・幅・奥行のサイズを記した図を付けます
店舗の図面には位置と数を正確に記入します
求積図
営業所とその中の客室の、それぞれの面積を求める図面です
【営業所の面積には何が入る?】
お客様が利用する、イスやテーブルがあるスペース・カウンター内・厨房・トイレ・クローゼットなど店舗内すべての面積の事です
【客室とは?】
お客様が利用するスペースのことです。カウンターの内側や厨房・トイレ・クローゼットなどは客室には入りません
営業所や客室の形は様々ですので、長方形・台形・三角形など、計算しやすい形に区分けして面積を出します
ただし、都道府県によって店内の壁の厚みを面積に含めるのか含めないのかの見解が違いますので所轄への事前確認は必須です
また、柱などは面積から外さなければならないので、その面積も割り出します
なお、申請後、警察からの検査があります。検査では添付した図面のそれぞれの寸法に間違いがないかを1cm単位で確認します
この検査で実際に測った寸法と、図面上の寸法に違いがあると、図面の提出し直しとなり、その間の書類の審査期間がストップしますので、オープン予定日が延びてしまいます
照明音響防音図
店内の照明の種類・数・位置、スピーカーやアンプの数・位置、防音設備としての壁の材質について示した図面です
照明は、天井の照明だけではなく、テーブル上に置いたスタンドライト、壁に取り付けた照明器具など、光を発するものは全て照明となります
図面には照明の種類ごとに(LEDやハロゲン球、白熱球など)記号や色分けなどで区別して記載し、図面の横や別紙にリストを作成して、記号や色分けに対応した名称や型番、熱温度などと共に、個数を記入します
風俗営業許可の事前の検査では、これらについて対象となるので正確に記入します
位置や個数に間違いがないように慎重に作成しなければなりません
ここも申請後の検査で図面と照らし合わせて確認されます
「用途地域」と「保全対象施設」って?
都市計画法というものがあります
各都道府県において、「どの場所を人が住む地域(住居地域)にするか」「どの地域を商売ができる地域(商業地域)や工場を建てることができる地域(工業地域)にするのか」が都市計画法で決められています
この決められた地域のことを「用途地域」と言います
風俗営業許可を受けようとする店舗はどの地域に建てることができるかは各都道府県の条例で決められています(基本的に住居地域には店を構えることができません)
この用途地域の要件をクリアしても「保全対象施設」から、店舗が一定の距離を離れた場所でなければならないという要件もさらに加わります
「保全対象施設」とは、学校、病院、有床診療所などです
条例で決められた一定の距離内にこれらの施設があると、風俗営業を営むことができません
保全対象施設がどこにあるかは、地図だけで確認することは不可能ですし、かなり危険です
実際には地図を片手に一定の距離を歩き、マンションなどに大学のサテライトキャンパスがないか、近々開業予定の病院や有床診療所がないかを目で見て確認します
そしてその内容を地図上に示したもの(店舗の周囲の一定の距離をコンパスで円形に記したもの)も必要書類の一つです
建物の大家さんから営業の了承を取っていますか?
不動産屋さんからお店にしたい店舗をピックアップしてもらい、下見も行って目星も付けた。保全対象施設もクリアしているし用途地域もバッチリ
さて次の問題は、自分が営業するお店について、大家さんから了承を取れるかどうかです
風俗営業許可申請に必要な書類として、大家さんとの間での物件の契約書と使用承諾書が必要になります
大家さんが出店に対してNGを出すともちろん出店できません
キャバクラなど、どうしても社会的なイメージを気にされる方も少なくありません
また、契約書を締結する際にも「使用目的」に注意してください
「住居用」といったような、商売に使用することができない記載ですと許可が下りません
連絡をつけてしっかりと確認しましょう
建築と消防の検査もあります
大阪では地下1階より下の階層、または地上3階以上の階層の場所で風俗営業許可を申請するときには管轄の役所の建築課による検査(大阪市内のみ)と消防署による消防設備の検査もあります
地区によっては市役所から発行される「建築計画概要書」や「建築確認済証」の添付も必要となります
図面と用途地域の証明は必要書類の一部です
用途地域の調査と店舗の測量⇒各種図面の作成だけでも多大な時間と労力がかかります
しかし、これらはまだ必要書類の一部に過ぎず、まだまだそろえるべき書類が必要です
オープン準備に追われる中、果たしてこれらの作業をすることができるでしょうか?
当事務所では多数の風俗営業許可申請の代行経験がありますので、それらについてのアドバイスと書類の作成全てを承っています
許可取得をお考えの方は一度お気軽にご相談下さい